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白雪姫にくちづけを
第29章 彼女の涙腺
『今、附属病院に搬送されて!…ザザッ…浩…の、…ザッ…』
病院の中なのか、急に電波が悪くなり、おばさんの声が聞き取れなくなる。
『制…が…ザッ…血だらけ…ザザッ…』
(───血!?)
『ごめ…ね!電波が悪…から、ザザッ掛け直…ザッ…プッ!』
ツ──ッツ──ッツ─…
階段から落ちて
意識がない
血だらけ
(嘘だ……)
───「久しぶりに一緒に夕飯作ろう。」
昨夜聞いた、浩巳の声。
(嘘…嘘!嘘!嘘だ‼︎‼︎)
『あずさっ!どうしたの?!』
『そんなの嘘‼︎いやだ…浩巳‼︎』
目の前が霞む─────
『あずさ‼︎』
『あずさちゃん‼︎』
梨々子と芽衣の声を最後に、あずさの意識はそこで途切れてしまった。