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白雪姫にくちづけを
第32章 番外編
(寝ちゃったのか)
洗い物を終えた浩巳は、彼女の寝顔にフッと笑みを漏らす。
(最近、仕事忙しいって言ってたもんな…)
彼女を見つめながら、彼はずっと胸に秘めていた想いを巡らせる。
(もうすぐ…やっと来年、卒業だ。)
大学を卒業したら、彼はあずさにプロポーズをすると心に決めていた。
『…そうだ。』
(そういえば、ずっと知りたかったあずさの指輪のサイズ…)
浩巳は受け取ったばかりのクッキーのリボンを解く。
(普段、アクセサリーしないから、どうやって調べるか悩んでたけど…案外、簡単に分かったな。)
浩巳はそっと、あずさの左手をとり、薬指にリボンを巻きつけた。
『ん…』
彼女が眠りから覚める前に、リボンを抜き取り、印をつけた。
(この指を飾るのも、その唇にくちづけるのも、全部おれだけだよ…)
浩巳はやさしく彼女をベッドへ横たえる。
布団をかぶせ、唇ではなく、おでこへキスを落とした。
『ゆっくりおやすみ。あずさ。』
END
(白雪姫のくすりゆび)