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あたかも普通の恋愛小説
第12章 奈落、注意報

「ぜったい。やめたほうがいいって」
何故か。私の前に現れて脱力系の力説をするのは井藤くん。研究室へ帰りなさい、ハウス。
「何で私にそんな話をするの?郎太から聞いたなら郎太に言えばいいじゃない」
私の友達、じゃないんだけど。どうして足繁く通ってくるの?職場の帰り道に待ち伏せとかいくら井藤くんでもねえ?
「あぁ。おK。落ち着こ。とりあえず聞いて、小鳥ちゃん」
カフェでおごってもらってるから、一応は聞くけど。郎太と同棲反対意見は現在受け付けておりません。
「真壁はね、いい奴だよ、確かに」
むーっと私が面白くない顔をしてみせたからか、井藤くんは声のトーンを徐々に落としていく。
「でも、ダメなんだって」
「なにが」
「だから、その、アレだよ」
要領をえない井藤くんの話にイライラしちゃう。何なの一体。
「井藤くんはそんなに私のこと嫌いですか、嫌がらせですか」
「いや誤解だし」

