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あたかも普通の恋愛小説
第15章 秘密の花園
「ねぇ郎太」
私は愛しい郎太の指に自分の指を絡ませた。
「だからね。郎太がどんなでも、郎太のお母さんがどんなでも。私は郎太が大好き。全部まるごと過去も背景も含めて郎太を好きでいたい」
ぎゅ、と握り返される。きれいごとに聞こえるかもしれないけど、今思う素直な気持ちは全部伝えて郎太が安心出来るようにしたい。
「不安や不満があればいつでもいって。直せるとこは頑張って直すから」
これまで歩んできた道は直せないし変えられない。なかったことには出来ないし隠そうと思わない。過去がどうしようもないからこそ、今やこれからを間違わないようにしなきゃいけないよね。精一杯誠意を。
「きっとお母さんもすぐには私なんか認めてはくれないだろうけど。私、頑張るよ」
郎太の額がそっと私のオデコに当たる。目と鼻の先にいる郎太は近すぎて見えない。
「俺も――」
穏やかな温度が包む。もう言葉はいらなくて、優しい愛撫が愛を語る。
もっともっと私をとかして。
あなたとなら、心まで丸裸でいたいの。