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あたかも普通の恋愛小説
第16章 天国と地獄


それ以来、安心して研究に専念出来るようになったのか、郎太はますます帰らずの放置プレイに磨きをかけてきた。

郎太の部屋にいけば貞操帯の鍵が置いてあるから、取り外しは自由で、ちょくちょく郎太の留守中も部屋にいってお風呂を借りたりしていたのだけど。日中は貞操帯のお世話になってます。


そんなある日のこと。


「波島さん、本社の高多さんから12番にお電話入ってます」


げ。仕事中に突然、思いもよらぬ展開です。研修以外でお世話になることはないはずの本社から電話とか。高多さんてばどういうつもりなの。


「もしもし、お待たせいたしました波島です」


緊張しながら電話に出ると、聞きなれた声が聞こえた。


『お疲れ。今日今から本社に来られる?』

「ええ?本社にですか?ナゼデスカ」


突然の呼び出しにうろたえた。まさか勤務中にまでセクハラ紛いな何かを企んでいるのかと警戒してしまう。


『紹介したい女社長がいるんだ。しばらくお前に担当してもらおうと思って。どうせ暇だろ』


営業成績が悪いのと暇なのはイコールではないのですが、言い訳しても仕方ないので素直に頷いた。

私の勤める会社は衣料品を扱う大手メーカー。私はそこの下着部所で補正下着の販売を担当している下っ端。


『お得意様の女社長が何でも、自分のために補正下着を作ってくれって、そういう話なんだよ。既製品の販売じゃなくお客の要望しっかり聞いて確実にオーダーとってこい、絶対失敗するな、わかったな。とにかく可愛くて若い女の子寄越せっていう女社長のリクエストだから俺がお前を適任だとみた』


矢継ぎ早に言われても意味がわからない。何かよくわからないけど突然の大仕事の予感。私ぺーぺーのヒヨッコなんですけど大丈夫でしょうか。


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