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あたかも普通の恋愛小説
第3章 にゃんにゃん禁止令


いつもなら誘わなくても寄ってくるひとの相手をするだけ。でも草食男子の彼はいくら待ってみても私に手を出さない。焦れったい。

こんなの初めて。


私が自分から誰かに抱かれたいと思うなんて。


(恥ずかしい……)


私は俯いてしまった。彼を見てたらどんどん性欲が刺激されちゃう。やっぱりビッチになっちゃう。


「あの、さ。ショックだったとは思うけどさ。キスされただけで済んだのは不幸中の幸いと思って……」

「…………あれ?キスされたのは誰?」


私がしちゃったんだと思った。


「君が。一緒にカラオケ行った男に。されてたよね」

「私が貴方にしちゃったんだと思っ――あ、私まだ、貴方の名前知らない」


面食らった顔が可愛い。男のひとを可愛いなんて言ったら変かしら。目元が微かに赤くなって目をそらされちゃった。


「――郎太。真壁、郎太」


それが彼の名前。


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