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あたかも普通の恋愛小説
第3章 にゃんにゃん禁止令

「真壁…郎太さん」
やっと聞けた名前を呟いてみる。胸キュン。今までわからなかった名前を知ってしまった。
「軽蔑しますか、私のこと」
「――軽蔑?」
私、真壁さんに恋したい。でも報われない恋ならしたくない。
「あの日。私がナンパされていた日。友達に、……その、男のひとと軽々しくしちゃ駄目って……禁止をされたんです。それを聞かれていたらしくて、あのひとも……私を……ビッチって」
こんなこと赤裸々に語ったら、きっとドン引きだよね。だって彼は草食男子だもの。ビッチなんてきっと引く。
何でこんなこといきなり暴露しちゃったんだろう。早くも後悔。私が涙ぐんで黙ってしまったからしばらく沈黙が流れた。
「でも」
沈黙を先に破ったのは彼。
「昨日のことはそれとは関係ないし。それに仮に君が今までそうだったとしても、それは一概に君だけのせいじゃなくて、――そうさせてきた男側の問題でもあるよね」
「????」
ちんぷんかんぷんな私の困惑を表情から読み取ったのか、もう一度噛み砕いて彼なりに説明してくれた。
「つまり。男女問題は男と女が揃って初めて問題になる。どちらか片方だけに原因や責任があるとは思わない。君は可愛いからそういう男がたくさん寄ってくるんだろうし……あー、だからえーと。」
せっかく噛み砕いてくれた説明も難しくて私にはよくわからない。
「だから、俺は軽蔑とかしてない」
軽蔑してない。こんな私に、ドン引きしてない。
「ほんと?」
「例えばもっと違うタイプの男と出逢えば、君だって――」
言いかけた言葉をフェイドアウトさせて、真壁さんは立ち上がる。ベッドのスプリングがまた軋んだ。

