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あたかも普通の恋愛小説
第4章 恋花・火花
井藤くんは、あんまり詳しく説明をしてくれるつもりもないみたいで、ベッドに膝をつきゆっくり私の上に近づいて来た。
「最初はさ、どんな最低女かと思ったんだよ」
「……私を?」
大きな手のひらを顎と髪の隙間に差し込まれ優しく撫でるのが気持ちいい一方で、話がさっぱりわからなくて困惑する。
「姫紗ちゃんがああいったから?他のみんなみたいに?」
「いや?まだ会う前。真壁の話を聞いて勝手に最低女だと解釈してた」
それは、真壁さんが私を最低女とも取れるように話したってことなんだよね。真壁さんのくれた言葉に私は励まされたのに、どうして?
泣きそう。真壁さんに嫌われてるのかもとか考えただけでもう辛くて仕方ない。
井藤くんが私の唇を指の背でぷにぷにと玩びながら伏し目がちに呟いた。
「イメージした通りの最低女なら泣かしてやろうと思ったんだ。でも違った。……だから泣かないで」
私が泣きそうだから?優しいキスをしてどんどんと深く私の中に入り込んでくる。ベッドに押し倒されてももう乱暴じゃなくて、それは優しい。泣かないでって言われたけど私の目からは涙がこぼれた。
唇が離れたあと、私の涙を指で拾って井藤くんは呟く。
「俺を見てよ」
「……真壁さんは貴方に何て言ったの……?」