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あたかも普通の恋愛小説
第4章 恋花・火花
寂しそうな目で私を見て、井藤くんは小さく笑う。
「アイツが何か言った訳じゃない。でもアイツは真面目なやつで女とか苦手で。だから俺が勝手に小鳥ちゃんのこと、真壁をたぶらかしてるって、そう思ったんだよ」
私を傷付けないように、きっと言葉を選んでくれている。
「私、たぶらかしてなんか」
「うん。でもアイツは正直戸惑ってるよ。女に免疫ない不器用男だからさ」
私がいると、真壁さんの迷惑なのかな。うっとうしいのかな。
またじわっと涙が目に浮かんで私は悲しくなった。誰かを好きになるって辛いことが必ずついてくる。
「ねぇ小鳥。俺ならずっと幸せにしてあげれるよ」
優しい腕に抱き締められて、その心地よさや温かさに身動きができない。
「だから泣かないで」