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大地の恋
第1章 幼馴染みの弊害
次の日は休みで、ゆっくり寝て起きるとリビングに小さな客人を見つける。
「……何で居んの?」
「真優ちゃんちのお母さん、おばあちゃんを病院に連れてく日だから預かったの」
「預かったのって…」
そいつは俺を見るとまた露骨に嫌な顔をする。
DNAか!?
心細げに小さな体を小さくしてソファに座るそいつの前にしゃがみ顔を覗いた。
「なー、こいつ名前なんてーの?」
「悠月くんていうの。ね、ゆづくん」
お袋が悠月にジュースを出すとじっとお袋を見ている。
「飲んでいいのよ」
はい、と小さな手にジュースを持たせると悠月は遠慮がちに飲み始めた。
「さーて、お母さんパートに行く時間だわ」
「は?こいつどうすんだよ」
「暇でしょ大地」
「いやいや、暇だけど無理だって」
「大丈夫、アンタ子供の扱い上手かったじゃない」
「弟とよその子は違うだろ!?」
「よその子って…真優ちゃんの子じゃない」
……真優の子だからこそだろ。
お袋はありえない強引さで俺に悠月を預けパートに出ていった。
「マジかよ」
「………」
ただでさえ心許なげな小さな体は俺と二人になったことで更に固く縮こまる。
「どうすんだよ」
「………」
「…アニメとか見るか?」
専門チャンネルをつけてやるけど悠月の反応は薄い。
「何がいいんだ?」
色々回しながら悠月の反応を伺う。
…と、懐かしいものを見つけてしまった。
「怪談アニメ…」
……子供の頃真優と見た怪談アニメ。
付き合い出してDVDを見つけて一緒に見た時、初めてキスより先に進んだんだっけ。
「懐かしいな…」
正直、真優を忘れるなんて不可能だ。
思い出の欠片を拾う度、こんなにも切なく愛しい…
「…ママ元気か?」
画面を見たまま悠月に尋ねる。
「ママ…」
「お、初めて喋ったな。このアニメママ好きだったんだぞ」
「………」
「おまえのママ怖がりでな…怖がりの癖に見たがるんだよな」
後悔はどんなにしてもし尽くせない。
もし一度だけ過去に戻れるというのなら、迷わず俺はあの日に戻る。
「…でもなー、俺が戻っちゃったらお前ここにいないもんな」