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大地の恋
第1章 幼馴染みの弊害
その犬はヌイグルミみたいなナントカプードルで、おばさんは俺たちを見てニコッと笑う。


「こんにちは、いいわね。パパと遊んでるの?」


「あ…いや」


「パパ!」


悠月がパパパパと喜び出す。
それは別に俺の事じゃなくて、純粋に自分の父親を思い出しているんだろうけど……


「そう、パパが大好きなの?いいわね」


「………」


「わんわん、いた!まゆ!」


悠月は俺に犬を指差して母親の名前を呼ぶ。


「は?何でママ?」


「まゆ!まゆ!」


初めて会ったときの不機嫌顔はどこへやら、悠月は満面の笑みで「まゆ」と連呼する。


「…おまえ面白いな」


――――その笑顔の中には確かに真優がいて。


こいつ本当に真優の子なんだなんて……


今更実感させられる。




おばさんと犬が過ぎると再び俺たちは二人きりになる。


「…子供って不思議だな」


まるで父親似なのにこいつの中にちゃんと真優が居る。
小さな手で懸命にアリを捕まえる姿を見ながら真優のことばかりを考えていた。


「………」


ぼんやりする俺の前に悠月がアリを差し出す。



「ん?アリ捕まえたの?すげーじゃん」


「………」


「くれんの?いらねーけどありがとな」


そしてまた小さな手でアリを一生懸命捕まえる。


「ハンターだなおまえ。でも可哀想だからもうやめとけよ」


「………」


「アリだって一生懸命生きてるんだぞ…って、あーあ」


言ったそばからあんな素早いアリをまた器用に捕まえる姿を見て感心するやら呆れるやら。


「………」


わずかに悠月の口角が上がる。



「アリ捕まえてドヤ顔かよ」


込み上げる笑いに肩を震わせ悠月の頭を撫でた。



……あの日、俺が過ちを犯さなければこんな未来は俺のものだったのだろうか。


















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