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斉藤太一です
第14章 変わらない僕・変わらない君
ごめんね
かすみ
君を
泣かせるつもりなんて
ないんだ
君を
褒めてあげたかった
しずくを
産んだことを
褒めてあげたかったんだ
それなのに
君の瞳からは
一気に
涙があふれ出し
あっという間に
その涙は頬をつたい
そして
君は
泣き崩れた
ごめんね
泣かせてしまって
でもね
なぜか
よかった・・・
って
思ったんだ
君は
きっといつも
ひとりで
頑張っていて
辛ければ
辛いほど
笑って
悲しければ
悲しいほど
強がってきたんじゃないかな・・
誰かの前で
泣いたこと
あったのかな・・
だから
こんな僕だけど
こんな僕の前だけど
泣いてくれたことが
うれしくて
そして
泣いたあとは
笑顔に
なれるんじゃないかなって
思ったんだ
できれば
泣いている君も
その後の
笑顔の君も
そっと
抱き寄せたいと
思ったけど
そんなこと
出来ない僕は
なぜか自分まで
込み上げる
涙を必死でこらえながら
気のすむまで
泣く
かすみを
ただじっと
見つめていた