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斉藤太一です
第14章 変わらない僕・変わらない君
かすみは
バックから
タオルのような
ハンカチを取り出し
涙をぬぐった
ようやく
落ち着いた
かすみは
そのハンカチで
半分くらい
顔を隠して
「驚いた?」
と、呟いた
「うん、驚いたよ」
「ずっと…言えなくて…」
「しずくちゃんのこと?」
かすみは
目を伏せて
うなずいた
「僕に
しかられると
思ったの?」
君は
大きく首を
横に振った
「かすみちゃん
コーヒー
冷めちゃうから
飲みながら
ゆっくり話そう」
「…うん」
やっと
ハンカチを
テーブルに置き
かすみは
あの頃のように
少しずつ
少しずつ
コーヒーを
口に運んだ
「……美味しい…」
「ありがとう」