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斉藤太一です
第14章 変わらない僕・変わらない君
落ち着いて
コーヒーを飲みはじめた
かすみは


時々

部屋を
チラチラと
観察したり


僕の手元を
見たりしていた




目は
口ほどにものを言う




かすみが
見ているのは


僕の
左手だった




「かすみちゃん」



「……?」



「僕は、まだ独身なんだ」



「あ…うん」



「だから、気にしないで
いつまで
ここに居てもかまわないんだよ


と言っても・・


しずくちゃんを
迎えに行かなくちゃ
だめなんだよね?


何時に
迎えに行くの?」






「まだ・・決めてないの」






「そうか・・うん」





かすみが

すぐ
帰るのか

それとも
長居をするのか




その鍵は
僕が握っているような
そんな気がして


わずかに
体温が
上がった気がした




「斉藤さん・・・」




「ん?」




「恋人は?」





「いないよ」





「・・・そう・・なんだ」





「相変わらず

モテないんだよ(苦笑)」





「・・優しいのにね」





「それだけじゃ
男は
ダメなんだろ?

雑誌に書いてあったよ」





「クスッ(笑)」




目は口ほどに

…ものを言う…




君を

もっと見ていたいけど




あの頃よりも

もっと

君を意識している
自分を
知られたくないと思った



君の
綺麗な髪

薄い唇

柔らかそうな
頬…



つい



見てしまうんだ





だから

僕は


そっと眼鏡を外し

静かに
コーヒーカップの横に
置いた




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