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斉藤太一です
第14章 変わらない僕・変わらない君
2人の
歩くスピードは
なんだか
とても
ゆっくりで
行きよりも
帰り道の方が
時間がかかっていた
「斉藤さん…」
「ん?」
「手紙…読んだよね?」
相変わらず
童顔の君の
照れた顔は
しずくみたいに
子供のようで
僕の胸を
ざわつかせる
「うん…読んだよ」
「恥ずかしいな…」
かすみ
うつむかないで
もっと
君の顔が
見たいよ
「もっと…
もっと早く
来てくれたら
よかったのに
僕は
しずくちゃんの話だって
なんだって
聞きたかったのに」
「……
恥ずかしかったから…
行けなかった…」
信号が
赤になり
車なんて
一台も
通ってないのに
僕たちは
2人で
小さな交差点に
立ち止まった
「しずくちゃんのこと?」
かすみは
首をふり
そして
ちらっと
僕を1度だけ見て
また
うつむいた
「最後に…
最後に変なこと
言っちゃったから…」
そこで
信号が青に変わった
気付いていたけど
最後の言葉を
思い出して
足が
動かなかった
かすみは
うつむいていて
信号に気付かないのか
かすみも
動かなかった
最後の言葉
それは
「斉藤さんに
セックス
してもらおうと
思ってた」
だった