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斉藤太一です
第22章 赤ちゃん
僕は
しずくに「おとーさん」と
呼ばれるようになってから
しずくと離れ離れだった時間を
埋めるかのように
2人と
大切な時間を過ごしてきた
急に親になった僕は
自分の子供を
かすみに
産んでもらうなんて
考えもせず
精一杯、しずくの
おとーさんになろうと
していた
そんなある日
しずくが
大きくなってしまう前に
赤ちゃんを…
と、かすみから
相談を受けたんだ
かすみは
しずくと僕の
血がつながっていないことを
気にしているのか
僕の子供を
産みたいと言ってくれた
「大好きな
太一さんの子供を
産んで育てたいの」
「かすみ?」
「なに?」
「しずくは
僕とかすみの子供だよ?」
「分かってるけど…」
「正直に言ってもいいかな」
「……うん」
「自信がないんだ」
「そんな・・
太一さんは
私なんかよりずっと
しっかりしてるし
いいお父さんよ?」
「そんなことないさ
僕はね
しずくとかすみを
しっかりと守っていきたいと
思ってるんだ
うまくはできていないと
思うんだけどね
だから
僕には
しずくとかすみだけでも
いっぱいいっぱいなんだよ」