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Deep Emotion
第3章 弟
「とりあえず、藤澤さんは部屋に荷物を置いてきたら?陽、奥の部屋に案内してあげて」
門倉さんがそう言うと、陽さんが頷いて私のキャリーバッグを持った。
「え」
「重いでしょ。持つからあんたはついて来て」
有無を言わせぬ口調で、陽さんがリビングを出て進み始めたので私もその後を追った。
案内された部屋にキャリーバッグを置いてもらうと、陽さんが私の方を向いた。
「ここがあんたの部屋。好きに使って」
「ありがとうございます。えっと、陽さん」
お礼を言うと、陽さんは困ったような顔をした。
なんか、まずいこと言ったかな…。
「…あんたハタチくらい?俺、今年で21なんだけど、年がそんなに変わらないなら、俺のこと、陽さんなんて呼ばなくていいよ。なんか、慣れなくてくすぐったい感じするから、さん付け以外で好きに呼んで」
「あ、同い年なんですね」
「…同い年?なら、俺には敬語もいいよ。自分が喋りやすい話し方で話しなよ」
「…じゃあ、…陽くんって呼んでいい?」
私が訊くと、陽くんはうん、と微笑んだ。
*
ハウスキーパーの初仕事は買い物だった。
時間も時間だったので夕食を作ろうと冷蔵庫を覗いてみれば、牛乳とジャム、それから缶ビールとパックジュースの残りしかなかったのだ。
門倉さんからスーパーの場所を教えてもらい買い物を済ませ、マンションに戻る。
預かった鍵をエントランスに置かれた銀色の台のセンサーにかざしてロビーに入り、エレベーターに乗った。
…何、作ろうかな。
施設でも、ご飯を作るのを手伝うのが大好きだった。
皆がおいしいって言ってくれるのが嬉しかった。
会社の寮で自炊はしていたけど、ネットカフェ生活になってからは外食ばっかりだったから、今日は久々にご飯を作る。
そんなことを考えている間にエレベーターが31階に着き、ドアが開いた。
門倉さんがそう言うと、陽さんが頷いて私のキャリーバッグを持った。
「え」
「重いでしょ。持つからあんたはついて来て」
有無を言わせぬ口調で、陽さんがリビングを出て進み始めたので私もその後を追った。
案内された部屋にキャリーバッグを置いてもらうと、陽さんが私の方を向いた。
「ここがあんたの部屋。好きに使って」
「ありがとうございます。えっと、陽さん」
お礼を言うと、陽さんは困ったような顔をした。
なんか、まずいこと言ったかな…。
「…あんたハタチくらい?俺、今年で21なんだけど、年がそんなに変わらないなら、俺のこと、陽さんなんて呼ばなくていいよ。なんか、慣れなくてくすぐったい感じするから、さん付け以外で好きに呼んで」
「あ、同い年なんですね」
「…同い年?なら、俺には敬語もいいよ。自分が喋りやすい話し方で話しなよ」
「…じゃあ、…陽くんって呼んでいい?」
私が訊くと、陽くんはうん、と微笑んだ。
*
ハウスキーパーの初仕事は買い物だった。
時間も時間だったので夕食を作ろうと冷蔵庫を覗いてみれば、牛乳とジャム、それから缶ビールとパックジュースの残りしかなかったのだ。
門倉さんからスーパーの場所を教えてもらい買い物を済ませ、マンションに戻る。
預かった鍵をエントランスに置かれた銀色の台のセンサーにかざしてロビーに入り、エレベーターに乗った。
…何、作ろうかな。
施設でも、ご飯を作るのを手伝うのが大好きだった。
皆がおいしいって言ってくれるのが嬉しかった。
会社の寮で自炊はしていたけど、ネットカフェ生活になってからは外食ばっかりだったから、今日は久々にご飯を作る。
そんなことを考えている間にエレベーターが31階に着き、ドアが開いた。