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Deep Emotion
第6章 友達
呼び鈴を鳴らし、やってきた店員にビールのおかわりを注文する。

「二股以前に付き合ってないし。もう、それだけでも十分不誠実なんだけど」

私は机に突っ伏した。

「もっと気楽に考えれば?今ハタチでしょ。若いくせに真面目に考え過ぎ」

そう言う千佳ちゃんは誕生日が来れば25歳になる。

自分だって十分若いくせに。

「でも、キスにしてもそういうことするにしても、初めてするのは好きって思える人が良かった…」

「澪って本当にちゃんとしてるよね。うちの先輩達なんかはキスやカラダの関係から始まる恋もあるって当たり前みたいに言うよ?」

千佳ちゃんは運ばれた2杯目のビールに早速手を伸ばして口を付けた。

「なのに、気持ちいいとか思った自分を穴に埋めたい…」

「はいはい。埋めなくていいから。ちゃんと感じてるってことは健康な証拠だよ」

それからは、千佳ちゃんの仕事の話を聞いていた。

疲れる。大変。夜勤明けが眠すぎる、セクハラとかむかつくなど、主にグチだったけど。

私達は2時間くらいで店を出て、また駅の時計台へ戻った。
私も千佳ちゃんも頬がほんのりと紅い。

「澪、あんまり悩むなって言っても無理かもしんないけど、ため込まないでよ。話ぐらいなら聞いてあげるし」

「ありがと。ちょっとすっきりした。またね」

千佳ちゃんに手を振りながら、私は電車の切符売り場へと歩き出した。
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