この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Deep Emotion
第9章 偽物の婚約者
*
明けて土曜日。私は門倉さんと共に高そうなホテルの中にいた。
手持ちの服は、カジュアルすぎるものばかりだったので、私は門倉さんから必要経費だと言ってプレゼントされた上品なワンピースを着ている。
「そんなに緊張しないで」
門倉さんはそう言うけれど、緊張せずにはいられない。
待ち合わせているというカフェに入ると、奥の方のテーブル席に門倉さんが進んでいくので、私もその後ろをついていった。
テーブル席には、既に1人の女性がいた。
「母さん」
門倉さんが声をかけると、その人物はこちらを振り向いた。