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Deep Emotion
第9章 偽物の婚約者
「明、久しぶりね。その子が電話で言ってた子?」

うわ、すっごい美人。

「どうぞ、座って?」

私は美女を前に緊張しながら席に着いた。門倉さんが隣に座る。

「は、初めまして。藤澤澪です」

「門倉由里(かどくら・ゆり)です。ふーん、若いのね。いくつ?」

「今、ハタチです。今年で21です」

話し方は柔らかいけど、何だか迫力があるのは、気のせいだろうか。

由里さんは値踏みをするように私を見ている。

「陽と同い年なのね。…ねえ、明のどこが好きなの?」

「え、ええっと…」

好きな所…、好きな所…。

何を言えば正解なのかがわからず、私は混乱した。

すいません、偽物の婚約者なんです。

そう言ってしまいたかった。

「あら、言えない?」

「…」

私は黙り込んでしまった。

だめだ、全然婚約者らしくない。

陽くんの言った通りだ。

どうしよう。
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