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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会

「さっきはごめんね。危うくバラしちゃうとこだった」


 構内から出てマデリーヌが追いかけて来ないのを確認すると、ニーナは申し訳なさそうに肩を竦めた。


「いいの。それよりニーナは大丈夫なの? さっきの方、侯爵令嬢なんでしょ? ルードリアン男爵にご迷惑がかかったら……」


「へーき、へーき! お父様がやり手なの、アリエッタも知ってるでしょ? 侯爵相手だって簡単に潰されやしないわよ。それに男のことを指摘されただなんて、マデリーヌだって言えないわ」


「それならいいけど……」


 ニーナは謝ってくれたけど、本当は謝るべきは自分なのだとアリエッタは申し訳なくなる。


 アリエッタのことで怒ってくれたニーナに迷惑や被害が被ったら……と考えるだけで、アリエッタは自身を呪いたい気持ちだ。


 すでにアリエッタは厭というほどこの身を呪っているのに、だ。








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