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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会



「何でもないわ。それよりマデリーヌ様。品位がどうとかおっしゃってたけど、あなたこそ品位が足りないんじゃなくて?」


「どういう……意味?」


「何人もの男と寝てるの、有名よ? 一昔前なら姦淫罪でその首吊るところでしたわね。よかったですね。男女の仲に寛容な世の中になって」


「なっ!? なんですって……! あなた、誰にそんな口きいてるか解ってるの!?」


 マデリーヌは吊り上がった眉をさらに吊り上げ、顔を真っ赤にさせる。両隣の取り巻きは青ざめた。


「ええ、もちろん。でも、学生は皆平等であるという校訓をお忘れじゃなくて? 学生間の問題は学生同士で解決すること、ともあるわ。あなたの掲げる大好きな爵位、ここでは通用しませんわ。試しにグリオッド侯爵に言いつけてみる? あたしが学校に言い付ければ、不利になるのはあなたでしょうけど」


 ニーナは言うだけ言って、アリエッタの腕を引っ張って先へ進んだ。


 背中に突き刺さるような視線にアリエッタは恐ろしくて振り返ることは出来なかった。






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