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隠匿の令嬢
第6章 恥じらう乙女と卑猥な遊戯
レオは遠方から戻ったばかりだというのに、樫の木の執務机にかじりついていた。
アリエッタが訪れると視線だけ上げる。
「悪いな。こっちに置いてくれ」
「はい」
歩く度に擦れる太股に心許なさを感じつつ、アリエッタはお茶を注いだカップとソーサーを執務机の邪魔にならない所に置く。
注いだばかりの熱い湯気の立つミルクティーを、レオは蠱惑的な口許に運んだ。シャツの上にある喉仏が上下する。
ただお茶を飲んだだけの行為であるのに、アリエッタは美しい所作に知らずと見惚れた。
「どうした? 構って欲しそうな顔してるな」
「ち、違うの……。あの、その……そう、疲れてるんじゃないかと思って。少しくらい休まれたらどうかなって」
慌てるアリエッタをレオはくすりと笑う。書類に視線を向けていたから見ているのを気付かれてないと思っていた。
「そうしたいのはやまやまなんだがな。俺がいない間にどっさり書類を寄越してあった。今日中に処理しておかないと、溜まる一方だ」
「そう……。なにかお手伝いできることない? って、私では難しいことは解らないけど」
自分で出来る範囲の勉強はしてきていたアリエッタだが、きちんとした教育を受けたのは半年足らず。
国政に携わるレオの役に立てるとは到底思えず、自分で言い出したことにしゅんと沈んだ。
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