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隠匿の令嬢
第6章 恥じらう乙女と卑猥な遊戯


 ナキラはお茶を煽って口の中のものを呑み込み、身を乗り出した。


「アリエッタ様は足手まといなんかになってないですよ!」


 あまりの勢いにアリエッタは丸い瞳をぱちくりとさせる。


「僕もそう思います。アリエッタ様がいらしてからレオ様楽しそうですし」


「レオが? まさかそんなこと……。気のせいよ」


「ほんとーですって! アリエッタ様はどうなんです? こちらにいらして楽しくないですか? というか、レオ様のことどう思われてるんですか?」


 ナキラの質問にキッシュも興味津々なのか、お菓子を食べる手を止めた。二人に挟まれて見詰められ、アリエッタは居心地悪そう身体を縮みこませる。


「どう……って言われても。感謝はしてるわ。寄宿舎に居られなくなって、住むところを無くした私をこちらで住まわせてもらって、好きな絵も描かせてくださって。皆さんもとてもよくしてくださるし、感謝し尽くせないくらいよ」


「それだけですかぁ?」


 ナキラは至極不満そうに眼を細める。


「じゃあ、アリエッタ様にとってレオ様ってどんな方ですか?」


「どんなって言われてもね……。農夫、みたいな方かな」


「農夫……ですか」


 二人は顔を見合わせ、落胆する。どうやら期待していた答えとは違ったようだ。しかしアリエッタの言葉に耳を傾けた。






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