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隠匿の令嬢
第6章 恥じらう乙女と卑猥な遊戯


「レオもね。きっと多くの人は王城で何不自由なく過ごし、贅沢な暮らしをしていると思ってるんじゃないかしら。でも彼は違うでしょ? 毎日誰よりも働いて、人々の暮らしを良くするためを考えて。誰かに感謝されるためじゃなく、ただそうしたいからしてる。
 彼はきっと自分が食べられなくても、とても空腹であったとしてもパンを分けられる人よ。人々の空腹を満たすためにね。それを知る人は多くはないと思う。私も実際お逢いするまで、政治的な手腕が優れているってことくらいしか知らなかったの」


 ラインハルト王国という国を耕し、水がなければ自分の飲み水であっても惜し気もなく運び、与え。


 困っている人がいたら自らの畑から作物を分け、そして生きる術さえ与える。


 ──アリエッタにそうしたように。


「どうしてそこまで出来るのかは解らないけれど、彼は……生きるってことの難しさも、死を悼む気持ちも知っている……。そんな気がするの。だから私…………」


 アリエッタはそこまで言って言葉を切った。


「“私”!? なんですか!?」


「え? なにが?」


「なにが、じゃないですって! だからの続きです!」


「もー、ナキラのせっかち! いいところだったのにぃ」


「だって!」


「いいところって?」


 顔を付き合わせて言い合う二人にきょとんとする。




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