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隠匿の令嬢
第9章 息を殺して生きる理由
レオに教育係に命じられてから、日々アリエッタの身体は快感に馴らされ、レオといるだけで蜜口は潤んでしまっていた。
そうなるまでアリエッタはレオによって開発されてきたのだ。
なのに──。
豊満な胸の頂は生理的なもので硬くはなるし、咥える口腔の温かさやぬるつく舌の感触はあるというのに、感覚がまったくと言っていいほどない。
痺れや疼きもなければ、押し寄せるような快感もこない。
リリスの呪いのような言葉の糸に絡めとられたアリエッタは、やはり人形のようで。
体温だけ残した傀儡。それが今のアリエッタだろう。
ドロワーズを履いていないアリエッタの下肢へとレオの手が伸びたとき、乾ききった秘唇に触れた途端、レオは眉間に深く皺を寄せた。
そして身体を起こし、ベッドサイドに腰掛ける。
急にレオの重みがなくなったのを感じとったアリエッタが虚ろな瞳をレオの背中に向ければ。
「……出ていけ」
レオが低く唸るように言う。
「え──?」
「出ていけ、と言ったんだ」
聞き返せば、更に低くレオは唸る。
アリエッタは声から、そしてレオの背中から見たこともない、聴いたこともない怒りを感じ、一瞬瞳を揺らし。
よろよろと起き上がって、解かれたナイトドレスの前身頃を掴み「ごめんなさい」と消え入りそうな声で呟いてレオの部屋を出ていったのだった。
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