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隠匿の令嬢
第9章 息を殺して生きる理由




 レオは瞠目し、眉をひそめて困惑しているようだ。アリエッタが常に神へと嫁ぐ身だからと、純潔を守ってきたのだからそれも当然だ。


 しかしレオは開きかけた口を閉じ、言葉を呑み込んだ素振りを見せ、そして扉を閉じた。


 互いに口をきかないまま、レオはアリエッタの肩を抱いて寝室へと引き入れる。



 ──本当にリリスの言う通りね。


 頭の隅でぼんやりと考える。


 男は好きな女でなくとも抱いてくれる。だからレオも好きでもないアリエッタを抱くのだろう。


 アリエッタはレオに見られないよう、自嘲気味に口許に笑みを浮かべた。







 寝台で仰臥〈ギョウガ〉するアリエッタは眼裏に漆黒の双眸を隠す。


 アリエッタの桃色の唇にレオのそれが重なり、舌が唇を割って入り込むのも抵抗なく受け入れる。


 するするとナイトドレスのリボンが解かれ、白い柔肌がオイルランプがほのかに照らす室内に晒されても、恥ずかしがる様子ひとつ見せない。


 舌が擦り合わされても、胸をやわやわと揉まれても、なぜかアリエッタは呼吸も乱さず、喘ぎ声すらも上げなかった。







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