この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅
大ホールに戻ってからもレオは使用人が運んできたシャンパンを片手に落ち着かない様子だった。
優雅に人波を歩き、声をかけられるまま歓談しながらも何かを探しているようで。
そうしているうちにレオは突然シャンパンを手近な使用人に渡すと、アリエッタに「行こう」と低く呟いた。
つかつかと歩くレオは少し強引で、腰を抱く腕も力が籠る。
「レオ……?」
見上げるレオは僅かに微笑む。次の瞬間、レオは前を見据えた。
「ザキファス公」
──え?
レオの口から飛び出した言葉に眼を見張る。
数人がかたまって歓談に興じる人の中に、アリエッタの父であるザキファス公爵と、そして妹のリリスまでいたのだ。
レオに呼ばれた父は輪から抜け出すと、微笑を湛えて前へ進み出た。
その背後に控えるリリスはオリーブ色の双眸に煮え滾る炎を隠し持ち、彼女もまた笑みを浮かべていた。
.