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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅
「やっと笑ったな」
「え?」
「その……悪かったとは思ってる。アリエッタがこういう場所を苦手としてるのは知っていた。けどどうしてもキミに来て欲しかったんだ」
レオは罰が悪そうにする。
「いいえ、いいの。それにね、私も本当はレオのお祝いしたかったから」
想いはもう伝えないと決めたアリエッタが言える精一杯の気持ちだ。
「そうか、それを聞いて安心した。だがアリエッタ。俺たちの祝いは二人きりになってからが本番だぞ?」
「え?」
「知らないのか? 男が女性にドレスを贈るのは、脱がせたいからだってことを」
「なっ……!」
そんなこと、聞いたこともない。アリエッタは真っ赤になって唖然としていれば、レオは愉快げに肩を揺らす。
「もう、知らないわ! そろそろ戻りましょ」
小さく唇を尖らせレオを促せば、レオが制止する。
「もうひとつだけ。アリエッタ。この先なにが起ころうとも、俺を信じろ。いいな?」
「……?」
「頷いてくれるだけでいいから」
さっきまでの茶化す雰囲気はなく、真剣に問われるものだから、アリエッタは逡巡したのち頷く。
「よかった。では行こうか」
そう言うレオの横顔はどこか剣呑としていて、アリエッタは不安を覚えずにいられなかった。
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