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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸



 ザキファス家の邸は別邸とは思えないほど広大で、錬鉄の門を潜ってからさらに長いアプローチを馬車で滑走し、それでもまだ林が続く。


 随分と林の合間を進んでから整えられる芝生に差し掛かり、ようやく建物が見えてきた。


 白亜の立派な邸だ。



 庭を抜けて正面の入り口前で止まった馬車からレオの手を借り降りると、すでに何人もの使用人が待ち構えていた。


 建物そのものが威圧感を放っているというのに、使用人まで揃っていれば、余計に縮こまりそうになる。


 顔にはださないが心臓はもう縮んでいた。




 レオの邸を光とするならば、ザキファス邸は闇。自由と不自由という点でも相反する邸は、アリエッタの牢獄だ。


「お待ちしておりました。王太子殿下、アリエッタ様」


 恰幅のよいお仕着せを纏う公爵家の執事が恭しく頭を下げる。


「お出迎え、感謝いたします。……行こうか、アリエッタ」


 レオがアリエッタの腰に腕を回すと、遂に檻という名のザキファス邸の重厚な扉が開かれた。







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