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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸
「ったく、うちの連中ときたら。俺がアリエッタと話す暇を与えないつもりか」
ぼやくレオは言葉と裏腹に笑っている。そして両腕を広げた。
「アリエッタ。おいで」
アリエッタは戸惑いながらも広げられた腕の中におさまる。
「不安か?」
「……いいえ。家に帰るだけよ。不安なんてあるはずないわ」
嘘だった。本当は不安に押し潰されてしまいそうで。けれどもアリエッタはもう弱気を見せず笑顔でいようと誓った通り、精一杯の虚勢を張る。
「ならいい。前にも言ったが、悪いようにはしない。俺を信じられるな?」
「はい……」
囲われた腕の中でアリエッタは見上げ、微笑む。
心強いレオの言葉に、それでも不安は払拭しきれない。
孤独と恐怖、悲哀の思い出が詰まる邸に足を運ぶのは、それだけアリエッタの細身に重くのしかかっていた。
だが同時に、犯した罪の数々への償いを求められたなら、抗らわず従おうという覚悟もすでに固まっていた。
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