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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
ザキファス邸の玄関ホールを彩るのは金縁に縁取られた装飾画。天井には大小さまざまなクリスタルがふんだんに使われるシャンデリアが垂れ、これ見よがしに鎮座するのは豪奢なテーブルセット。
公爵という威厳を玄関ホールだけでも見せつけているような様相は、アリエッタには畏縮するものでしかない。
この場所で幾度両親と妹が出掛けるのを、使用人のお仕着せで見送ったことか──。
過る淋しい思い出に胸が締め付けられる。
「こちらへどうぞ」
公爵家の執事のオースティンに案内され、父が待つであろうリビングを目指す。
廊下にも装飾画などの調度が飾られ、床は足を押し返すほど柔らかな絨毯が敷き詰められている。
震え、今にも立ち止まりそうな足でなんとかその絨毯を踏みしめ、一歩ずつ歩みを続ける。
アリエッタをエスコートするレオの琥珀の双眸に得体の知れない光が宿っているのも、戦慄〈オノノ〉くアリエッタには見えてなかった。
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