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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密




 オースティンがリビングの扉をノックし開く。


 よく手入れされた蝶番は音もなく扉を開け、二人を迎え入れた。


 リビングには父、母、それにリリスも二人の訪問を待っていて、ソファーから立ち上がり父が歩み寄る。


「王太子殿下。ようこそお出でくださいました」


「こちらこそお招きいただきありがとうございます」


 レオと父が握手を交わす背後。母がアリエッタに小さく微笑みかける。だがその横のリリスがアリエッタにだけ解るような、ほんの一瞬滾る憎しみを送り、母に微笑み返すことは叶わなかった。


「アリエッタも。久しぶりに帰ってきたんだ。ゆっくりしていきなさい」


 不気味なほど笑顔な父。それが余計に不安を煽る。




 両親と向かい合いソファーにレオと並んで座る。レオの向こう側には一人掛けの椅子にリリスが腰掛けていた。


 レオを突き通して刺さるリリスが送る無言の圧力。


 彼女の黒い色彩がアリエッタを侵食しようと、床を這って蠢いていた。





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