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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る



 その翌日もまたその翌日もレオは現れず、四日目ともなると何もせずに待っているのが勿体無く感じ、デッサンに没頭していたその日にレオが姿を見せた。


 そろそろ陽が落ちかけ、手元が見えなくなってきたので引き上げようかと立ち上がったときの出来事であった。


 コツ……と靴音が鳴り、出入口の方向からレオが歩いてきていた。


「鍵が開いてたのでまさかと思いましたが。久しぶりですね」


 薄暗がりであっても彼の美貌は塵ほども損なわれず。それどころか妖艶さが増している佇まいに息を呑む。


 アリエッタは礼儀をわきまえ、くすんだ灰色のドレスのスカートを僅かに広げ、軽く腰を落として挨拶を返す。


「今日は預かっていた物をお返しに参りました」


 胸はざわざわと波を立て、甘い感覚が蘇ってきそうになるが、全ての感情を殺して毅然と告げた。







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