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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る
「いいですよ。受け取りましょう。でも何度でもお渡ししますし、その度にお礼を戴けるなら願ってもない話ですね」
毅然とした態度も流されまいとの意気込みも、レオは軽々と崩す。
親切なのか不親切なのかよく解らない。ともかくどうあってもアリエッタをここで絵を描かせたいらしい。
アリエッタはまたあんな風にキスをされては堪らないと口を噤むしかなく。彼を言いくるめられるだけの饒舌さも、アリエッタは持ち合わせてなかった。
学校を卒業するまで訪れないという選択肢もあるにはあったが、それを伝えると
「あなたがこの温室全ての植物を描き尽くすまで受け取りませんよ?」
と言ってのけた。
またも八方塞がりになったアリエッタには温室へ通う日々を始めるしか道が無くなった。
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