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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
学校生活があと二ヶ月というところ。
王都国立学校はにわかに沸き立っていた。
これまで令嬢たちばかりが飾り立て、競って美しく華やかなドレスを纏っていたのは、王太子のレオが学校に在籍していたのは言うまでもなく。
さらにはレオの従弟にあたるセドリックの存在も着飾るのを助長していた。
だが今や令息たちも仕立ての良い上着を羽織り、髪も乱れなくきちんと整えられ、そのまま舞踏会へと繰り出しても可笑しくはない様相だ。
「あー、どこ行っても眼が腐りそうで、鼻がもげそうよ」
普段とまったく変化のないニーナが、学生の行き交う廊下で愚痴をこぼす。
「ニーナ……。聴こえてしまうわ」
その愚痴を聞くアリエッタが周りを気遣わしげに見回す。
「いいのよ! どいつもこいつも浮かれちゃって! ここは学校よ? なのに嫌味なドレスにきつい香水振り撒いて! 講義受けてても気持ち悪くてかなわないわよ」
フンッと鼻を鳴らし、誰かれ構わずニーナはねめつけた。
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