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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界
「ジョシュアさんが王女さまのお世話を?」
リンゼイがラインハルトに訪れ1ヶ月が経ち、近隣の市街地への視察や有力貴族が開く舞踏会への出席も大方終え。
レオが再び私邸に腰を据えると言い出し、彼の代わりにジョシュアをリンゼイにつけるとたった今彼から説明を受けていた。
「ああ。こっちにも色々と事情があってな。ジョシュアに王女の世話を頼んできたんだ」
「そう……」
事情とは婚約のことであろうか。
リンゼイがレオの妃となれば、ジョシュアは先々彼女の面倒も見ることになる。
それにだ。レオの一番の側近であるジョシュアをリンゼイの傍に置くということは、それだけ彼女を大切に想っているのだろう。
「浮かない顔だな。俺が邸に帰ってきたのに嬉しくないのか」
「いいえ、そうじゃないわ。ただその……王女さまがお淋しいんじゃないかって」
「彼女なら大丈夫だ。単身、他国へ留学に来るくらいだぞ。見た目ほど弱くないよ」
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