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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会
講義の時間が終わるとアリエッタは寄宿舎の門限まで広大な敷地を歩き、草花や樹木、建物や景色をデッサンするのが日課。
この日も唯一の、そして幼い頃からの友人であるニーナとお喋りをしたあと、デッサンをしに行くつもりだ。
ニーナの新緑色の双眸は暖かみがあり、丸みのある可愛らしい小鼻とぽってりした唇、くりくりと巻いたココアブラウンの髪は背中の中ほどまである。その瑞々しい出で立ちから彼女自身が若い木のようで、生き生きとしているニーナからアリエッタは元気をもらっていた。
アリエッタの入学を誰よりも喜んでくれたのはニーナでもある。
彼女もまた芸術に造詣が深く、ニーナは女性では珍しい彫刻を趣味としていた。
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