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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会

「あたし、将来は絶対彫刻家になる。ラインハルト初の女性彫刻家によ」がニーナの口癖。


 今も構内を歩きながらニーナは夢中で彫刻の話をしている。


「あたしね、人体像に挑戦してるの。ほら、今までは手型だとか動物とかばかりだったでしょ?」


「ええ。でも人体像は難しいんじゃない? 大きな物は作業も大変だし」


「そりぁあね。その分やり甲斐はあるわ。問題はモデルがいないことなのよね」


「モデル? ニーナも普段からデッサンしてるでしょ? それにルードリアン男爵にお願いすれば、モデルならいくらでも見つかるんじゃない?」


 ニーナの父、ルードリアン男爵は娘のニーナが社交界デビュー後も男性に興味を示さず彫刻ばかりしているのに頭を抱えているのをアリエッタも知っている。


 だがニーナにいくら言っても聞かず、「あたしは石膏像と結婚するの」と父親に明言していることから、最近では半ば諦めていると聞いた。


 それにニーナの才能をルードリアン男爵も認めてはいるのだ。だからアリエッタは首を傾げた。





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