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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界
「また淋しい想いをさせてしまうが、耐えられるか? どうしても耐えられないなら、連れて行けるようなんとかする」
「レオ……私……」
混乱が混乱を呼び、上手く考えが纏まらない。
家に帰ると決心した矢先のことだ。
レオの口調ではまるでアリエッタが今後も彼の傍にいるみたいだ。
少なくともレオはそう考えているように思えてならない。
「悪いがもう行かなきゃならない。どうするかはアリエッタに任せる。考えておいてくれ」
レオはアリエッタに口付けると、彼女の混乱に気づかず出ていった。
──今の話って……?
アリエッタの漆黒の双眸は視点が定まらず、うろうろと彷徨う。
逍遙は思考も同じで、脱け出せない迷路の中にあった。
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