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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界
「実はな。王女の帰国に俺も同行することになった」
前置きもなく話し始める内容に、アリエッタは冷や水を浴びせられた気分になる。
レオがカンターヌに行く。これはもうリンゼイとの婚約の話は聞くまでもない。
「あっちに何日か滞在して道程の時間も含め、たぶん一ヶ月くらいは戻るまでかかりそうなんだ」
「そう……」
レオが帰るまでの時間はアリエッタには関係ない。なぜならそのときにはもう、彼との関係も完全に断ち切られてるのだから。
「アリエッタも連れてってやりたいんだが、今回は急だからそうもいかないんだ」
続く言葉にアリエッタは眼を丸める。
なぜカンターヌに行くのに、アリエッタを同行させようとの発想があるのかが解らない。
そんなことをして迷惑がかかるのはレオなのに。
疑念を渦巻かせているアリエッタをレオは抱き寄せた。
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