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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断



「どうかしたか?」


 レオはまだ眠りの狭間にある頭を振り、ジョシュアに応える。


「ザキファス邸より預かった手紙が先ほど届きました」


 簡潔に言うジョシュアの声に、頭が一気に覚醒する。


「見せろ」


 帳をさっと開き口早に告げると、その場でジョシュアがペーパーナイフで封を開き、レオに手渡す。


 レオはすぐさま内容に眼を通すと、顔色を変えた。


「アリエッタが──」


 血の気の引くレオはジョシュアに手紙を押し付ける。ジョシュアもまた手紙を読み、見開く瞳をレオに向ける。


「……ジョシュア、悪い。カンターヌへは行けない。すぐにメフィスへ戻る。馬を用意しろ」


 レオは小刻みに震える拳を握り締める。


 ジョシュアは物を申さず行動に出た。



「アリエッタ……。なぜ居なくなったんだ!」


 その声は空虚に吸い込まれていった。








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