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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断
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アリエッタが姿を消したという報せがレオの元に届けられたのは、それから4日後のことだった。
アリエッタの母──ザキファス公爵夫人が公爵の眼を盗み、アッシュブラン邸の元に手紙を届け、それを早馬でレオへと届けたのだ。
本来ならば馬車よりも機動力のある早馬ならばもっと早く届けられたのだが、途中大雨に降られ思うように進めなかった。
カンターヌへの道中にある、とある子爵邸をその日の宿としていたレオたち一行。
そこへ早馬が到着したのはまだ陽が昇りきらぬ明け方であった。
緊急の報せだと子爵邸の門が叩かれ、衛兵からまずその手紙を受け取ったのは子爵邸の執事である。
次にジョシュアが呼ばれ、ザキファスの蜜蝋がしてあるのを確認した彼は、レオが使う寝室へと急ぎ足で向かった。
「レオ様。お休みのところ申し訳ありません」
天蓋から垂れる薄い帳〈トバリ〉の向こう。ジョシュアの声にレオは身体を起こした。
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