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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
レオが幼少の砌〈ミギリ〉。
彼の乳母として働くひとりの女性がいた。彼女の名はカーラといった。
カーラはとても快活な女性で、芯の通った人であった。幼いレオは忙しい両親よりも、このカーラと多くの時間を過ごした。
だからであるのか、レオの人格形成にカーラの影響は多大であった。
「レオナルド様! またこんな所にお隠れになって!」
王城でカーラの怒鳴り声は最早日常茶飯事。カーラがレオを叱りつけている最中は、王であっても口出し出来ないのである。
この日もレオは父の執務机の下に身を隠し、カーラに見付かったのだ。
「カーラ……。よくここがわかったな」
「ええ、そりゃあもう! レオナルド様のことでしたら、このカーラにわからないことなどございませんから!」
「そ、そうか……」
レオは机の下で罰が悪そうにしていると、カーラの手が伸びてきた。
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