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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
「い、痛い! 痛い!! 耳を引っ張るな!」
「引っ張られるようなことをしたのはレオナルド様です!」
カーラは鳶色の瞳を吊り上げ、レオの耳を引っ張って机の下から引き摺り出す。
「お、おい。カーラ。あまり乱暴なことは……」
レオが隠れる執務机で執務をしていた父がカーラにおずおずと言えば、カーラは国王である父を睨みつける。
「王さまも王さまです! 今の時間はお勉強の時間だと知っておられますよね?」
「う、うむ」
「でしたらなぜ、黙ってレオナルド様をこちらに隠されておいででしたのでしょうね?」
「それは……いや、うむ」
飛び火に父もまた罰が悪そうにする。
「さ、レオナルド様。王さまのお邪魔になります。お部屋でじーっくり説教して差し上げますからね?」
「いっ!? ち、父上……助け……!」
レオが父を見上げても彼は気まずそうに眼を逸らす。怒ったカーラに父も形無しだ。
「誰もお助けしたりしません! さ、諦めていらっしゃいまし!」
「痛い! だから引っ張るな……!」
レオはカーラに耳を捻り上げられながら、部屋へと引き摺られて行った。
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