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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
呼吸困難が起こる理由は解りきっていた。心的ストレスによるものだ。
大切な人の死。それが周囲の予想以上にレオの心を苛んでいたのだ。
だが誰も真の理由は知らない。
レオがカーラとシンシアに『好きだ』と言った翌日、二人はこの世を去ってしまった。
単なる偶然にしてはよく出来すぎている共通点。
偶然だからと割り切れるほど大人でもなく、まだ強さも備えてはなかった。
レオは囚われた。二人の死と、呪いの言葉に。
夜眠ると夢にカーラとシンシアが出てきては『お前のせいだ』と怨み言を言われ、その度に発作が起こり。
あの二人がそんなことを言うはずはないと言い聞かせても、死者の想いを知ることは出来ず。
もしかしたら彼女たちは本当にレオを怨んでるのでは……だがレオの知る限り彼女たちが誰かを怨むような人ではない。
そんな出口のない答えに苦しみ、囚われているうち時は過ぎるばかりであった。
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