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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
「レオ? 気が付いたのか? 私がわかるか?」
オイルランプの柔らかな光に満たされる部屋。父がレオを覗き込む。
「どこか痛いところはない?」
母が泣きそうな顔をレオに向けている。
「もう、心配したんだから」
セドリックが片手に顔を埋めた。
ジョシュアや医師も控えており、ぼんやりと天井を眺めるレオを医師が脈診をしたり、なにやら質問をしてきたりする。
レオは呆としたまま、やはり呼び掛けには答えない。
ただ一言──。
「俺はもう二度とあの言葉を口にしない……」
そう言ったきり口を閉ざしてしまったレオに、そこに居たものは皆困惑していた。
レオはこの日から塞ぎ込むようになり。発作のような呼吸困難にも度々見舞われることとなった。
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