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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき



 レオの成人の儀まであと三ヶ月を切った。この儀式をもってして、正式に王太子と認められる。


 いつまでも塞ぎこみ、部屋に引き籠ってばかりいれば、国の重鎮たちから王太子の資質の疑問視が上がり、別の者が王太子に立てられるかもしれない。


 レオは元よりあまり権力や立場、地位に執着はない。外されるならばそれでも構わないと考えいた。


 だが両親や周囲の期待を痛いほどに受け育ってきた。


 身勝手な都合で放棄出来るほど、容易い問題でもない。


 以前ほどやる気を感じられない執務を無理にこなし、務めを果たしていた折り。


 前国王──レオの祖父と深く交流のあったある人物の体調が芳しくなく、父が見舞うこととなった。


 彼もまた重鎮のひとりであり、多大な影響力を持つ者である。


 父はレオの立場を確たるものにしようとしてか、それとも王城から殆ど出なくなったレオを外に連れ出そうとしてか。


 レオもその人物の元に行ってくれないかと父に誘われた。


 気乗りはしなかったものの、父の気遣いに応えるがため、レオは了承した。





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