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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
ザキファス公爵がアリエッタに自由を与え続けるとは思えず、監視していて正解だった。
すぐに学校へ引き返したものの、すでに宿舎を出たあと。
方々探したが見付からず、もう敷地にはいないのではと焦った。
けれど温室の鍵を宿舎に預けてはおらず、彼女の性格から持ったまま去るはずはないだろうと、最後に温室に向かえば。
微かに聴こえる歌声に、その哀しい響きにレオは胸が締め付けられた。
うずくまって小さくなる背中に胸が軋んだ。
いつかこんな日が来るのではと、邸にアリエッタのドレスを用意しておいた。役立つ日が来た喜びよりも、孤独に震えるアリエッタを暗い場所から連れ出したくて。
嫌がろうが、嫌われようがその背中を眺め、連れ去ろうと決め。
半ば人拐いのよう、アリエッタを邸に連れて行こうとした。
最後は彼女も納得してはいたが。
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