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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
しかし自分の気持ちに自覚してから、レオは苦悩の連続だった。
アリエッタが温室に来たときは浮かれ、また衝動に駆られてしまい。
避けられると落ち込み、再び逢えたらまた浮かれ。
どうすれば彼女の一番近くにいられ、心にも身体にも触れられるか考え。
それはもう、我ながら涙ぐましい努力の連続だ。まるで女を知ったばかりの、初心な男のようだ。だが悪い気はしなかった。
ゲームを持ち掛けたときも、あそこまでするつもりなどなかった。
秒数も僅差で、だけど素直に信じるアリエッタが可愛くて。
頬や手にキスをするだけのつもりだったのに、また衝動に負けてしまった。
今度こそ嫌われたのではと、温室で彼女を待っている間、悶々とする日々で。
結局、休暇に入ろうとするその日までアリエッタは姿を見せず、レオの気落ちは底の底まで到達するほど。
そんなレオにある報せが舞い込んだ。
アリエッタが宿舎を出るというのだ。
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